カチ　カチ　カチ　カチ　カチ




枕もとに置かれた懐中時計が奏でる音。
規則正しく、時を告げる音。


……迫る、終わりの時を教える音。

「最後」とか「終わり」とか「過去形」とか。
そういう表現が好き。

「未来」は先が見えなくて怖いから。

「終わり」はそこで終わりだから。


過去はいつもきらきらと綺麗で。
眩しくて、目を細めても、良く見えなくて。

ぼんやりとかすむ輪郭が、光にとろけているようで。


見たくない過去は目をつぶればいい。

けど、見たくない未来は、否応無しに目に飛び込んでくるから。





「約束」は好きじゃない。
守れなかったら、傷つけてしまうし、しょんぼりする。

守れない前提なのか、といわれると困るけれど。

守れる約束はしよう。
でも、守れない約束は最初からしない。





戦いが、「終わった」
僕の「最後」の戦いが。


まだあと１週間くらいはうろうろできるけれど。
それが「最後」だと、思うんだ。


「終わらない」って言ってくれてありがとう。
「また」って言ってくれてありがとう。
「泣いていい」って言ってくれてありがとう。




僕を好きだと言ってくれた人に、ありがとう。